カゴメ(2811)2025年12月期第2四半期決算を徹底分析 ― 原材料高と国際市況の逆風下でどう動いた?¶
カゴメが2025年12月期第2四半期(上期)の決算を発表。主力の国内加工食品は好調ながら、国際事業はトマトペースト市況の急落で大幅減益に。広告・販促費用の増加も響き、利益面は厳しい内容となりました。 本稿では公式決算短信・説明資料をもとに、事業別の実態、投資判断への影響、株主還元の動向まで解説します。
✅ 決算サマリー(2025年12月期第2四半期・連結)¶
指標 | 今期実績 | 前年同期比 | 評価 |
---|---|---|---|
売上高(営業収益) | 1,386億円 | △6.4% | 厳しい(減収) |
営業利益(事業利益) | 104億円 | △32.7% | 厳しい(大幅減益) |
経常利益(営業利益) | 106億円 | △57.2% | 非常に厳しい |
親会社株主に帰属純利益 | 62億円 | △64.0% | 厳しい(大幅減益) |
※前年はIngomar連結子会社化に伴う一時利益(93億円)が含まれていたため、前年との比較は割引き要
出典:カゴメ 2025年12月期 第2四半期決算短信【12】
🔍 ポイント①:業績ハイライト¶
- 国内加工食品(飲料・食品)は増収、トマトジュース好調・ケチャップも堅調
- 国際事業はトマトペースト市況の悪化で大幅減収減益
- 原材料高、広告費増で全体として利益率が大きく悪化
- 前年の特殊要因(Ingomarの一時利益)が剥落し、利益減の幅が大きく見える
🔍 ポイント②:主要事業セグメントの動向(抜粋)¶
国内加工食品¶
- 売上収益:730億円(+0.5%)
- 事業利益:57億円(△28.0%)
- トマトジュースが引き続き好調、「野菜生活100」は30周年で家族向けプロモーション強化
- トマトケチャップは堅調、販促費用や原材料コスト増で利益率悪化
国際事業¶
- 売上収益:621億円(△18.4%)
- 事業利益:56億円(△29.2%)
- トマトペースト価格下落が直撃、北米・欧州・豪州で減収減益
- 一次加工・二次加工とも減益、在庫評価減や販売価格引き下げが響く
💰 株主還元策のアップデート¶
配当(2025年予想・分割予定なし)¶
項目 | 前期実績 | 今期(予想) |
---|---|---|
中間配当 | 0円 | 0円 |
期末配当 | 57円(うち記念配10円) | 48円 |
年間合計 | 57円 | 48円 |
配当利回り目安 | 約1.6%(株価3,000円前後想定) | 安定的 |
※記念配は前期のみ。2025年期は普通配のみで減配となるが安定性は高い
出典:カゴメ配当情報
株主優待(年1回・自社商品セット)¶
- カゴメの株主優待は昔から人気!10年以上保有して頂いた株主のみなさまに、オリジナル記念品を贈呈されたり、ファン株主へのメッセージや株主向けイベントの開催など個人投資家のファンづくりに熱心な企業ですね。
- 100株以上保有で年1回、自社グループ商品(飲料・調味料など詰め合わせ)
- 100株以上1000株未満で2000円相当、1000株以上で6000円相当の自社商品の詰め合わせ
- 実質利回りは100株保有時で約0.7%前後
- 「カゴメの健康・生活に役立つ」ラインナップで、主婦・家族層・健康志向の保有が多い
詳細:カゴメ株主優待ページ
📈 投資判断のポイント¶
ポジティブ要素¶
- 国内飲料・ケチャップ等の主力事業は底堅い
- 株主優待は年2回で実利型・生活に直結
- 健康・SDGs・サステナブル経営にも積極的
- 配当・優待あわせて長期保有インセンティブ強い
リスク要因¶
- 国際トマト市況次第で業績ブレが大きい
- 原材料高・円安継続ならさらなる利益圧迫も
- 利益水準の回復には下期以降も時間が必要
- 配当は前年より減額予定
📊 株価インパクト(発表前後の株価変動)¶
指標 | 値段 |
---|---|
発表前終値 | 2,977円(2025年7月30日) |
発表当日終値 | 2,974円(2025年7月31日) |
騰落率 | △0.1% |
- 想定内の内容で株価の大きな動きはなし。むしろ“下値は堅い”印象
- 優待・配当狙いの長期保有層には安心材料
🏁 総合評価:この決算は「中立」¶
- 主力国内事業は堅調維持
- 国際事業(特にトマトペースト)の急激な市況悪化で大幅減益
- 前年の特殊要因剥落で表面的な減益幅が拡大
- 配当は前年より減少も水準は安定、優待も魅力十分
- 下期以降の市況回復とコストコントロールに期待
🗣 投資家の声(口コミ・レビューより)¶
- 「優待が毎回楽しみで、家族にも好評です」
- 「野菜ジュースが普段使いできるので助かる」
- 「株価は地味でも安心して長期保有できる」
- 「原材料高が気になるが、健康系メーカーとして応援したい」
Q&Aでおさらい¶
Q. 今期売上高は?
A. 1,386億円(前年同期比△6.4%)
Q. 純利益大幅減の要因は?
A. 国際トマト市況の悪化、原材料高、前年の一時利益剥落による
Q. 株主優待の内容・実質利回りは?
A. 年1回自社商品セット(100株で2,000円相当・1000株以上で6000円相当)。100株なら実質利回り0.7%前後
✍ まとめ:カゴメ(2811)はどんな投資家に向いている?¶
向いている投資家タイプ | 理由 |
---|---|
長期保有志向 | 優待+配当が安定。食品・健康関連で生活密着 |
優待重視 | 自社商品セットは主婦・家族層・健康志向層に好評 |
サステナブル投資志向 | ESG(環境・社会)施策も積極的 |
📚 参考情報・出典¶
※本記事は2025年8月2日時点の情報に基づき執筆しています。
(出典:公式決算短信・説明資料・補足資料【10】【11】【12】)